最近、Canvaを使っている方から印刷物のデザインもCanvaでやりたい、というご相談をうけます。
Canvaにはチラシや名刺、飲食店やサロンなどの印刷物のテンプレートも用意されていて印刷物をデザインすることができます。
素敵なテンプレートや素材が揃っていますし、ぜひCanvaを使って印刷物をデザインしてみてください。
ただ、私たちグラフィックデザイナーは印刷物をデザインする際、Adobe Illusratorというツールを使っています。
グラフィックデザイナーという職業に興味のある方に、CanvaとAdobe Illustratorの違い、なぜプロのグラフィックデザイナーはAdobe Illustratorを使うのか、についてご説明します。
CanvaとAdobe Illustratorの違い
- Canvaは基本的にWEBに適したデータ形式
- Illustratorはデータのカスタマイズが無限
- テキストデータを図形化できる
それではひとつひとつ見ていきましょう。
Canvaは基本的にWEBに適したデータ形式
WEBのデザインと印刷物のデザイン（グラフィックデザイン）では求められるデータ形式が違います。
WEBでつかうデータはラスター（ビットマップ）形式/RGBモードの画像データです。
それに対して印刷物はベクター形式CMYKモードのデータが必要です。
Canvaは基本的にはWEBのデザインをするツール。画面上ではラスター形式RGBモードで表示されています。
Canvaの印刷サービスを使うと、Canva側でデータを印刷物に適したデータに変換して印刷を行ってくれます。
Canvaの印刷サービスを使わない場合、データをダウンロードする際に「PDF（印刷）」を選び、オプションで「トリムマークと塗りたし」にチェックを入れると、印刷に対応したPDFを作成することができます。
ただ、CanvaのPDFについてくるトリムマークは普段印刷会社さんが使っているトリムマークとは異なっています。印刷会社さんによってはひっかかってしまうことがあるかもしれません。また、印刷会社に印刷してもらう際、カラーモードをRGBからCMYKに変換する必要があります。CanvaProでは印刷用のカラーモード（CMYK）でPDFを書き出すことができるので、Canva Proユーザーはぜひ利用してみましょう。
ただ、画面上で鮮やかな色を使っているとCMYKにした時に「くすんでいる」と感じることが多いかもしれません。
最初から少しくすんだ色で作成しておくと、色の落差が少なくて済みますよ。
また、印刷会社さんによってはRGB入稿というWEB用の色のまま入稿できるサービスを行なっている会社もあります。
自分でカラーモードを変換できない方は、RGB入稿のある印刷会社を選ぶこともおすすめです。
Canvaで作ったデータを印刷する際は、ご家庭のプリンターで一度プリントしてみるといいでしょう。Canvaの印刷サービスは品質がよく、印刷の専門知識も不要ですし、初心者の方におすすめです。
Illustratorはデータのカスタマイズが無限
Illustratorには「パス」というものがあります。線、輪郭線のことです。
この線は曲線したり、切ったり折り曲げたり無限にカスタマイズできます。イラストは模様など、Illustrator上のデータはこのパスを変形させることで様々に変形できます。
これによって、そのデザインに最適な形、長さ、太さをつくることができます。
わたしはイラストや吹き出しなど、カンタンなものは素材を使わずに自分でつくっています。IllustratorはCanvaのように素材を使うという概念があまりなく、外部サイトから探してくるのですが、探しているより作ってしまった方が早く、最適なものが作れます。
ただ、プロのデザイナーでもイラストを描くのが苦手な方もたくさんいます。そうゆう方には、素材が豊富でツールの中でカンタンに素材をレイアウトできるCanvaをおすすめしたいですね。
自分でオリジナルのものを作るのが得意ではない、という方には印刷物であってもCanvaの方がおすすめです。
テキストデータを図形化できる
Illustratorには「テキストのアウトライン化」という機能があります。これはテキストのデータを図形化する機能です。テキストを先ほどご紹介したパスに変換する機能です。Canvaにこの機能はありません。
昔はこの「テキストをアウトライン化」することが印刷データを作成する際には必須でした。テキストを図形化することで印刷所にデザイナーがつかったフォントがなくても、意図した通りの印刷をすることができました。
今は必ずしもテキストのアウトライン化は印刷データに必須ではありません。PDFで入稿することが多く、PDFにはフォントをデータとして埋め込むことができるからです。
それでもロゴデザインやタイトルデザインなど、テキストデータを図形化して更に変形させてカスタマイズすることは多く、グラフィックデザイナーにとってなくてはならない機能です。
Canvaでもロゴをデザインできますが、Canvaでつくったロゴは商標登録には使えない、と明確にCanvaの公式ページに記載されています。Canvaのロゴは、商標登録はしないスモールビジネスの看板やアイコンにはぜひ使ってほしいですが、やはり唯一無二のデザインが求められるものではまだまだIllustratorを使う必要がありそうです。
このように、Illustratorを使いこなすことができるようになると、オリジナリティのある印刷物をデザインすることができます。ただ、Canvaでも十分素敵な印刷物をデザインできます。
Canvaの進化はすごいスピードですから、今後もどんどん活躍の場は増えていきそうですね。
